ゆめみるけんりVol.5〜わたしから始める〜
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ゆめみるけんりVol.5〜わたしから始める〜
【版元コメント】
『ゆめみるけんり』は2017年に創刊。各号でテーマを決め、海外詩の翻訳やオリジナル作品を編んでいます。
中心には、以下の問いかけがあります。
社会の中でどうやって、文学あるいは詩を、つまりは私たちであるところの私たちを、擁護し続けていくのか?
ゆめみるけんり:マニフェスト的な
「どうやって?」と私たちは呟くことになります。通勤電車、満員のなかでどうやって、どうやって詩を擁護していけるというのか?
ゆめみるけんりは、今のところ10人前後、東京と広島に住む同世代のゆるやかなつながりです。大半のメンバーは様々な地域の文学(英米、ロシア、アラビア、ヒンディー…)を大学で専攻した挙句に、社会に放り出されることになりました。私たちにとって文学は、生きることであり、多様な可能性そのものでした。だったのに。いま私たちは雑踏の中で自問し続けることになってしまったのでした。「社会の中でどうやって、文学あるいは詩を、つまりは私たちであるところの私たちを、擁護し続けていくのか?」 実際のところ、どうしたら良いのでしょうか。
私たちは社会に出るとともに、限りなく一人になってしまった——そんなふうに感じます。会社のなかで、通勤電車のなかで、私たちには殻を脱ぎ捨てることができません。周囲には溢れるほど人がいるのに、なぜか私たちはますます一人に還ってゆく。私たちは個として、朝起き、地獄のような電車に乗り、会社に入り、仕事し、会社から出て、帰路につく。そのルーティンには、詩の入り込む隙間がありません。私たちは眠ります——明日寝坊しないで起きられる、ただそれだけのために。
しかし思うのです。この人を人とも思わぬ満員電車の最中で、社会のなかで、それでもなお、私には詩への権利がある。夢みる権利がある。口幅ったいのでひらがなにしましょう、「ゆめみるけんり」と。——こうしてゆめみるけんりは生まれ、人から人へ伝わって、新しいつながりを生み出し、いまここにzineをつくるという共通の目的のために人が集まって一緒に仕事をすることになりました。今後zineづくりとともに、それを核として何か文学・詩のための場を作るためのイベントなども企画していけないか、と考えているところです。
「詩」は、「文学」は、しかし、社会的なるものに反対するものとしてのそれではありません。私たちには生活があり、社会があり、その第三の道、オルタナティヴとして考えてみたらどうでしょうか。私たちにとって、文学は、コミュニカティヴな、開放的な、新しいもの・人との出会いや経験を分かちあう楽しさに溢れた場です。私たちにとって、詩は、生きる経験です、とても脆く危ういが、それは私たちの可能性です。そういうことを愚直に、あいもかわらず、信じ続けていけるために。
文責:工藤順/text: Nao Kudo
詩と生活のzine
ゆめみるけんり Vol.5
わたしから始める
1,760円(税込)
110mm×173mm
321p
無線綴じ
300部限定
vol.5メンバー
あおきりょう
秋本佑〔あきもとたすく〕
歩祐作〔あゆみゆうさく〕
遠藤のぞみ〔えんどうのぞみ〕
奧村文音〔おくむらふみね〕
Kamila Lin〔かみらりん〕
木下晴世〔きのしたはるよ〕
工藤順〔くどうなお〕
倉畑雄太〔くらはたゆうた〕
ことたび
小林大志〔こばやしだいし〕
佐々木美佳〔ささきみか〕
佐々木樹〔ささきみき〕
佐取優太〔さとりゆうた〕
砂漠で生きる〔さばくでいきる〕
杉浦朋美〔すぎうらともみ〕
清野公一〔せいのこういち〕
髙野由美〔たかのゆみ〕
tsugumi
二宮大輔〔にのみやだいすけ〕
藤澤大智〔ふじさわだいち〕
ふじたみさと
プロホロワ・マリア〔Мария Прохорова〕
堀谷加佳留〔ほりやかける〕
もう一つの椅子〔もうひとつのいす
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